Project
WOW25th Anniversary Project
About
WOWは2022年に25周年を迎えます。一つの節目を迎えるにあたり、きたるべき30周年の時を見据え、WOW25周年プロジェクトを始動しました。
本プロジェクトでは「これからのWOW」をテーマに、作品制作や展覧会の準備が進行中。メディアを取り巻く環境が目まぐるしく変化する昨今、ビジュアルデザインの本質を探求し、テクノロジーが生み出す新たな形式を取り込みながら、さらなるオリジナル作品の制作に取り組んでいます。
本ページでは、25周年を記念して開催する展覧会「Unlearning the Visuals」のプロセスや、25周年に向けて制作したオリジナル作品群のアーカイブを公開していく予定です。
・いのりのかたち(2021年公開)
・輪郭 -Contour-(2021年公開)
・POEM(2021年公開)
・Motion Modality / Layer(2022年公開)

WOW25th Anniversary Logo Design
WOW25プロジェクトの初動として、『WOW25 ロゴデザインコンペティション』を開催し、社員全員参加の投票の結果、北畠遼のデザインが採用されることになりました。 Concept 「WOWのユニークさは様々な個性を持ったメンバーの集合体であることです。その個性が響きあう様子を重なり合う様々な円で表現し、その集合体の持つ力強い無限(∞)の表現力をロゴ全体で表しています。また、WOWのこれまで積み重ねてきた歴史と、これから生み出される無限の作品への期待感を、25周年という節目で切り取ったイベントになればよいなという思いを込めています。」 - 北畠遼 北畠のデザインしたWOW25のロゴデザインを使って、さらなるビジュアルデザインを制作していく予定です。今後の展開にもご期待ください。 以下に、惜しくも次点となってしまった投票上位だったロゴデザイン3つを紹介します。 デザイナー高岸寛によるロゴデザイン。 Concept 「今まで培ってきた 20 年間の技術、知識をアップデートし これから先の時代も、前進し続けていく様を表現。25と描かれたラインには、重厚さと繊細さも兼ね備えつつ エッジの効いた形状も施し、WOW のビジュアルの特色を想起させるようなデザインにしています。」 - 高岸寛 プロデューサー安斉史人によるロゴデザイン。 Concept 「WOWに流れるエネルギーを視覚化したロゴ。創造性のエネルギーを世の中に張り巡らせるべく、多様な世界に枝を伸ばし続けるWOWの軌跡にかたちを与えました。」 - 安斉史人 プログラマー阿部啓太によるロゴデザイン。 Concept 「WOWが積み重ねてきた25年間を、年輪の様に、25重の輪をベースに表現。今後も樹木の様に年を重ねるごとにより太く、成長していければという願いを込めて制作しました。」 - 阿部啓太

WOW25th Anniversary Logo Movie Design
WOW25プロジェクトロゴを発展させ、有志のデザイナー3名(高岸寛、阿部伸吾、近藤樹)がモーションロゴを制作しました。本投稿では、それぞれが制作した映像作品を紹介します。 高岸による映像作品は、WOWに所属するメンバーの多様な個性が円を描きながら走り続けている様を描いています。ツールは、Houdiniを使用し、オブジェクトはテクスチャ込みでプロシージャルに生成しています。 Concept 有象無象な個性が集まり作り上げられた25年周年ロゴというイメージで制作しました。25周年ロゴの内部で、色、形状、動き、様々な特性を持った無数の個性たちが、ロゴにデザインされた無限に続く円の上を走り続け、作り上げ、積み重ねてきた様子を描きました。 - 高岸寛 続いて、阿部による映像作品は、手書きによるモーショングラフィックス表現に挑戦しています。本作品を手がける直前にアニメーションスタジオを訪ねたことがきっかけになったそうです。 Concept WOWの真骨頂は『期待感』と『変化』 今回、見えそうで見えない何かを「感じる」「予感する」をコンセプトに動画を制作。「次に何をやってくれるか」と期待と、驚きを与え続けるWOWのものづくりに対する姿勢を重ねられる演出とした。ここまでの25年の月日で、全員で作り出してきた『WOWに対する期待感』これは世の中の変化に先んじ、惰性に甘んじず常に変化し続けてきたことにより生み出されたもの。WOWの真骨頂『期待』を超えるための『変化』、その態度を動画に込め最後は「リセット画面」で結んだ。 - 阿部伸吾 最後に、近藤による映像作品はハードウェアを制御して作り出すモーショングラフィックに挑戦しています。 Concept 紆余曲折。それぞれの個性が尖り、さまざまなベクトルに走りながらも、それらが集まってWOWを成してきたと思います。一見バラバラに見えるチームも、時に同調し、時に各々走り、そうして大きなビジュアル、うねりとなってまた次のステージへと走っていく。それらをレーザーと鏡を使った、空間のプロトタイプとして表現しました。合わせ鏡を用いることで、屈折したかと思えば鏡像空間では直線的につながっていたりなど、複雑さと面白さをもって、WOWのクリエイティビティの豊かさを表現したつもりです。 - 近藤樹 以下は、メイキング映像。 3名の個性と得意とする技術が光る作品が完成しました。今後のWOW25プロジェクトの展開にもご期待ください。

"Unlearning the Visuals" Key Visual
2022年10月15日(土)から10月30日(日)まで寺田倉庫E-HALLにて開催した展覧会「Unlearning the Visuals」のために制作したキービジュアルを紹介します。 本キービジュアルは、展覧会のテーマとなった「unlearn(まなびほぐし)」を表現するものとして、クリエイティブディレクター・アートディレクターを務めた高岸寛、CGデザイナーの曽根宏暢、プログラマーの阿部啓太との協働によって制作しました。 詳細は、以下をご覧ください。 論考 / 高橋裕行 (インディペンデントキュレーター) 展覧会のテーマは「un-learn(まなびほぐし)」である。一度身につけた知識、スキル、経験を捨て、新たな形に再編成する。しかし、un-learnというのは実はいうほど簡単なことではない。例えば、いったん自転車に乗ることを覚えた人がそれをリセットして忘れることはほとんど不可能といってもいい。それが仕事の得意技であればなおさらである。しかし、激しく変化する世の中にあって、個人においても組織においても、一番の「強み」がそのまま「弱み」になってしまうことは珍しくない。たとえば、日本の携帯電話機が高度な進化を遂げながらもスマートフォンを生み出すことが出来なかったように。ひとつの市場に最適化していくと、迫りくる競合の姿が見えなくなり、変化を先取りすることができなくなるのである。そのような事情は枚挙に暇がなく、一説によると、企業の寿命は30年とも言われる。それほど変化し続けることは難しいのだ。 さて、そのun-learnというテーマを視覚的に表現するのがこのKey Visualである。さっと地面に降り立つような姿勢の人物像が極彩色に彩られ、風になびく衣装は、右側にいくほどほぐれていっている。崩れて分解されているようにも見えるし、いままさに合成され、編まれつつあるようにも見える。 このKey Visualはデザイナーと開発チームのプログラマの協働によって生まれたのだという。AIの機械学習によって生成されたランダムな色彩の模様を、バレエダンサーのCGモデルに貼り付けて作っている。最終的にはデザイナーが手動でカラーバランスを調整し、Key Visualにふさわしいものに仕上げたという。WOWというと、ロゴに象徴されるように、モノトーンでソリッドなイメージがあるが、今回はビビットでダイナミックな色彩が特徴だ。このKey Visualはウェブやフライヤーに使われるだけでなく、会場のサイン計画にも展開していく可能性が含まれているという。 本作において、デザイナーと人工知能の分担を比率で表すと7:3だという。7がデザイナーで3が人工知能だ。近い将来、このような人工知能と人間のコラボレーションはより一般化するのではないかと思われる。実際、2022年は画像生成AIが世界的に流行した年であった。世界中のあらゆる画像データを学習した人工知能は、人間の様々なオーダーに応じ、いかにも「それらしい」画像を生成してみせる。かつて19世紀に写真の誕生が写実という画家の牙城を崩し、印象派を生み出し、20世紀の抽象表現や新たな写真表現が生まれていったように、今後、人工知能の進展がクリエイティブの世界に大きな地殻変動をもたらすことは間違いない。このKey Visualはそんな予感を感じさせると共に、WOWという会社が「イノベーションのジレンマ」を超えて変化し続けるという決意を表明しているように思える。