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BAKERUについて
お面を身に着け、東北伝統行事の世界を体験する「BAKERU」
「BAKERU」は会場で配られるお面を着けることにより、スクリーンに映る自分の姿がいつしか自分ではないものに変化し、東北の伝統行事をモチーフとした4つの世界観を体験することができるインスタレーションです。
WOW20周年という節目に作品を制作するにあたり、私たちWOW仙台を中心とするチームは半年以上にわたって、本作品を作る意味や取り上げるべきテーマについて議論してきました。
東北の地にいる自分たちが今表現すべきことは何なのか。自分たちの住んでいる土地の歴史や文化をしっかりと認識すること。それらに敬意を払いながら、現代の視点で見直すこと。自分たちの活動が、このような文化を一歩先に進める力にならないか、と。
震災以降、各地で一度は失われた祭りや芸能が復活する例が多く見られました。それらは伝統を引き継ぐということとは、また違った意味が与えられています。太古から続く物語を受け継いできた伝統行事や祭りは今、コミュニティを再び結びつけるという新たな役割を担っているのです。
面白いことに何かに“化ける”とき、私たちは決して弱い存在にはなりません。お祭りの演目にしろ、豊穣を願うにしろ、子どもがおもちゃでヒーローやヒロインになりきるにしろ、そこに現れるのは何かをより良くしたいとか、力強く生きたいという人間の普遍的な願いです。
祝祭や芸能について考え、人ではない何かに“化ける”こと、そして願うことについて今一度想いをめぐらせることは重要な意味を持つのではないか、と私たちは考えました。そこから“化ける”行為をテーマに、その象徴的なアイコンである「面」を身に着けることをトリガーとして、人々の願ってきたことやその世界観を体験できるようなインスタレーションにする、というコンセプトが決定しました。世界観は東北の伝統行事から、「なまはげ」「鹿踊」「加勢鳥」「早乙女」の4種類をモチーフとしています。
様々なフィールドワークを行う中で、物語について、願うことについて、お囃子の重要性についてなど、様々な発見がありました。この作品が皆さんの身近にある文化の魅力を再発見する機会となることを願っています。
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