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伝統の再構成 ー デジタルファブリケーション
「ハレとケ展連載記事」:伝統の再構成 ー デジタルファブリケーション
※以下の記事は、2017年3月に開催した「ハレとケ展」の連載記事になります。
「BAKERU」会場内の4つの大きなお面は、モデリングした3Dデータをペーパークラフトとして出力し、組み立てる手順で制作されています。このお面には作品のモチーフを説明する上で、伝統を引き継ぎつつ、そこに独自の解釈を加える、またデジタルとアナログの世界の境界で、作品を制作するWOWならではの見せ方ができないか、という実験の意味が込められています。
このお面の制作方法を模索していたところ、宮城大学の演習授業でまさにこのお面のデジタル化と、制作をテーマにしていることが分かりました。お話を伺ったところ、「ハレとケ展」と新作「BAKERU」にも興味を持ってくださり、演習授業にも協力させていただくことになりました。
粘土で造形し、3Dスキャナーでデジタル化
宮城大学デザイン情報学科のメディアデザイン演習Cという科目。今年の内容は
(1)学生個人がオリジナルの祝祭行事とそこで願う内容を考える
(2)粘土を用いてその物語を表現する造形を制作
(3)3Dスキャンをしてデジタルデータ化、ローポリゴン化
(4)ペーパークラフトとして出力して組み立て
(5)制作したペーパークラフトのお面に、オリジナルの映像をプロジェクションマッピング
というものでした。身近にあるお祭りはどういう内容だったのか、どのような願いが込められていたのか、今何を願うべきなのだろう、など今日まで続く風習と今について深く考えさせられます。WOWは主に(1)と(5)で参加しています。
ローポリゴン化し、ペーパークラフトとして組み立てたお面にプロジェクション
手で組み上げたお面に、ぴったりプロジェクションする部分などはやや手間もかかりましたが、基礎から大規模の会場でも利用できる、本質的な内容までお伝えできたと思っています。学生さん達の物語や造形は面白く、凝った映像もあり、私たちも大変刺激を受けました。宮城大学の学生さんが演習授業で制作したお面は、「ハレとケ展」会場内のレクチャー・ワークショップスペースに展示されています。
ペーパークラフト お面のスタディ
最終的な展示品は、この授業でご一緒したFabLab SENDAI – FLATさんに協力いただいています。ローポリゴンで造形された伝統芸能のお面や衣装は、不思議な存在感をまとっています。FabLab SENDAI – FLATさんにより、デジタルファブリケーションならではのアイデアも豊富にちりばめられた作品。制作クオリティも非常に高く、迫力のあるものになっていますので、ぜひ会場でご覧ください。