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WOW20th Anniversary Movie Logo 社内コンペティション Vol.3
『ROBO-KABUKI』by 金原朋哉
Vol.3 は、金原朋哉(きんぱら ともや)による『ROBO-KABUKI』を、インタビューと併せてご紹介します。
金原朋哉 / きんぱら ともや(Visual Designer)
『Max Man & Maya Man』『Panasonic 4K Movie』『BIOHAZARD® 6 オープニング映像』などに参加。
ー『ROBO-KABUKI』の着想を教えてください。
短時間で制作しなくてはいけなかったのと、コンペで勝てるものを狙うため、クオリティが高く、すでに出来上がっているものを再利用しようと思ったんです。その頃、ちょうど仕事をしていたのが『Max Man & Maya Man』でした。3DソフトのAutodesk 3ds Max®とAutodesk Maya®の最新バージョンの発表に合わせたキャンペーン企画で、3Dプリント用のデータを公開していたんです。それを今回利用し、WOW20のテーマである「和」と、Max Manを組み合わせたキャラクターを考えました。「和」といえば、真っ先に思い浮かぶのが歌舞伎。『Panasonic 4K Movie』でメカニックなキャラクターを作ったときは『ジョジョの奇妙な冒険』をテーマにしていたんですが、クリエイティブディレクターに「どうしても歌舞伎っぽくなるよね。」と指摘されたことがあるんです。自分では無意識でしたが歌舞伎が好きみたいなので、今回はド直球にテーマにしています。
ー歌舞伎のどんなところに惹かれて、作品に落とし込みましたか?
見得(※1)とか、あからさまに格好つけた感じが好きなんです。市川海老蔵さんの動画を見て、いろいろなお辞儀や見得切りを参考にしました。ただ、どうやって30秒にまとめるかは悩みどころだったので、デザイナーの先輩に相談しました。「ずっと首を回せばいいんじゃない?」と言われ、「何それ!おもしろい!」と、定番の見得切りと、もらったアイデアを使わせてもらいました。
※1 見得
場面や登場人物の気持ちが盛り上がったとき、ポーズを作って静止する演技。
ーロボットはどのように作っていったんですか?
ほとんどは元のデータの使い回しで、パーツに色を付けて整えています。それだけだと味気ないので、和装を着せて、毛振り(※2)のために髪を付けました。この髪、実はリーゼントになっているんですよ。「ロック!」な雰囲気が好きで、WOWOW新春IDを作った際も、2015年は馬のたてがみをリーゼントに。2013年では、だるまに稲妻をつけてパンク系にしました。 あと、尺があまり取れませんでしたが、右手を2にして「20周年、おめでとうございます!」ってやっています(笑)。
ー苦労したことはありますか?
アニメーションですかね。見得切りが結構難しかったんですよ。最初に映像資料を見て、ポーズを決めるんです。30フレームごとにキーを打って、あとは微調整。全部手付けの作業なのと、いい感じに首と腰を回すのがなかなか大変で…。人間ではあり得ないぐらいのスピードで回転させているんですが、速くなるにつれて腰を落としたり、足も徐々に広がったりと、動作にはかなりこだわっています。
ー通常のフローの中で、好きな作業はありますか?
僕は特殊だと思うんですが、仕組みを作っていくのが好きなんです。アニメーションをつける時、いちいち「パーツごとにキーフレームを打って動かす」より、「スライダーひとつ動かせば、一度にアニメーションを変えられる」という設定を作る。それで、他のデザイナーさんにファイルを渡して「スライダーを動かせば、こうなりますから」って自慢するんです(笑)。キーを打つ作業は時間が掛かる上に、修正が入ると全てのキーを直さなければいけないけれど、あらかじめ設定しておけば、すぐに直せるんですよ。
※2 毛振り(けふり)
獅子が頭の長い毛を振る動作。
次回は、VJでも大盛況!格闘ゲームがモチーフとなった作品をご紹介します。
(Vol. 4につづく)