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大賞『Glittering Particles』by 近藤樹

社内投票で特に人気の高かった、近藤樹(こんどう たつき)の作品『Glittering Particles』をご紹介します。

 

 

近藤樹 / こんどう たつき(Technical Director / Designer)
『iQOS PR EVENT Installation』『SLUSH ASIA 2015 ‘360° DOME MOVIE / Installation / VI’』『片岡鶴太郎 四季彩花』『CASIO TR』『INFINITY LINE』に参加。

 

ー『Glittering Particles』のコンセプトは何ですか?

光によって、輝きを放つものを映像化しようと思ったのが最初のきっかけです。人や物事に対して「輝く」という言葉をよく使いますよね。僕らの周りには人やアイデア、思惑など、いろいろな原石があります。原石が輝くためには光が必要で、光をどのように当てるかによって、原石の輝き方が変わると思うんです。たくさんのプロジェクトや考え方に合った、光の当て方をしつらえる(まとめる)というのが、WOWの担っている役割であり、存在意義なのかなと思ったんです。

 

ー制作過程を教えてください。

2、3日で構想して、金箔をイメージした金粉が水中をきれいにたゆたうよう、1週間かけてモックを作りました。洗濯のりと水を混ぜた液体を作ったり、金粉の大きさや色などを検証したりして、一番キラキラする理想の状態を模索しました。そこから1週間かけて、撮影用に60センチの水槽に変換し、それと同時に、プロジェクターで光を投影したときのシミュレーションも行っています。カット割を決めていたのですが、実際にやってみたらうまくいかないことも多くありました。斜め上から撮りすぎると、フレアがきれいじゃなかったとか。さらに調整と撮影、編集を10日程繰り返し行って完成しました。光はモバイルプロジェクター・エルモBOXiで投影したのですが、どこの面から光を当てるかだけでも、金粉の印象が変わるんです。下からの光が特に幻想的に見えたので、水槽は床がガラス製のものにして、正面から撮影しています。

 

ー作品のみどころは、どんなところですか?
金粉がきれいに舞うよう、洗濯のりを混ぜて濃度を調整したことですね。水だけだとストンと落ちてしまうので、水と洗濯のりの配分をいくつか試しました。水を循環させるためにポンプを入れているので、きれいに対流しているところを見てもらいたいです。

 

 

ー苦労したことはありますか?

自宅で撮影したのですが、部屋の掃除が大変でした…。ポンプを一度止めてから片側を抜いて、次の作業を考えていたら、サイフォンの原理で水がビシャーっと流れて、部屋が水浸しになりました。床に養生をしていましたが、ひどい目にあいましたね(笑)。あと、金粉の扱いも大変で、バイクや車で使用する塗料用のラメを使ったら、家も手も爪の間もラメだらけになりました。

 

ーコンペでは、唯一の実写作品になりましたが、どうして実写にしようと思ったんですか?

実験をしたり、着想を現実化したりするのが好きだし、得意だと思っているので「実写で勝負したい」という気持ちが一番にありました。好きなことをやっていたから続けられたし、完成したんだと思います。

 

ー着想は、どんなところから得られたんですか ?

粉に光を当てるアイデアは、コンペの前からやってみたかったことでした。考えの元になったことのひとつは、担当した『iQOS PR EVENT Installation』で行った、エントランスのインスタレーションからなんです。スモークを焚いた空間にプロジェクターで光を当て、形を投影させていました。実体がないから触れないけど、立体物ができていたので、それをもっとキラキラさせた上品なものを作れないかなと思っていました。WOW20では、webサイトが金色をベースにしていたので、金箔が舞って、光が当たってキラキラしていたらきれいだろうな、と考えて作り始めました。

 

 

ー通常のフローで一番好きな作業は何ですか?

企画を練っているときですね。「こんなことをやりたいけど、果たしてできるのかな?」と、構想しているときが一番楽しいです。

 

ー今後、やってみたいことはありますか?

今回の作品を、人が中に入れるくらいの巨大版でやりたいです。真っ暗で、だだっ広い空間に銀箔を降らせて、照明やプロジェクターの光で同じことをやってみたいなと。社内のプロデューサーに話したら「それはなかなか厳しいですね」と一蹴されてしまいました(笑)。いずれにしても、空間やインスタレーションが好きなので、大きい規模の作品をやってみたいと思っています。

 

<次回はWOW20をカウントアップで表現した、阿部伸吾による『W20W』のインタビューをお届けします。>

(Vol. 2につづく)

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